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土地建物の学校法人へ遺贈した場合について

税金関係

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【税務ミニガイド】
 国税庁によると、令和6年分の申告所得税等の申告人員は2,339万人で、対前年比0.6%増となっています。
 そのうち申告納税額がある人は517万人、その所得金額は51兆1,604億円、申告納税額は4兆3,989億円でした。個人事業者の消費税の申告件数は212万件、申告納税額は8,004億円でした。

土地建物の学校法人への遺贈

質問
 学校法人の理事長甲は相続人がいないため、甲の保有する継続的に収益を得ている収益用の土地建物をその学校法人に遺贈することになりました。この場合、甲に相続開始があったとき、学校法人の課税対象となり、被相続人甲については、みなし譲渡課税が課税されると思います。もし、これらの課税環境が発生した場合、みなし譲渡課税については、国税通則法第38条の事業を譲り受け、特殊関係者の第二次納税義務により、その学校法人が甲の課税義務を置くことになるのでしょうか。

回答
 先ず、個人甲に対する課税について個人甲については、時価により土地建物を学校法人に譲渡したものとみなされ、個人甲に対し譲渡所得の課税が行われます。

 ただし、その遺贈については国税庁長官の承認を得た場合には、譲渡所得の課税は行われません。(措法40条1項)
 相続人がいない場合には、個人甲の有する財産は相続財産法人となり家庭裁判所が選任した相続財産管理人が遺言に従って土地建物の学校法人への引き渡し、個人甲に課税される譲渡所得に対する所得税の申告をし遺産の中から納税をすることになります。

 なお、遺贈を以て譲渡所得に対する所得税を納付できず滞納の場合、国税徴収法により遺贈により取得した学校法人が第二次納税義務者としてその滞納に係る所得税を納付しなければなりません。

  次に学校法人に対する課税について
 個人甲から土地建物を遺贈により取得したことにより学校法人が受けた利益(受贈益)は、学校法人の収益事業から生じた所得には該当しませんから学校法人については法人の課税は行われません(法法2条13,7,法令5)

TPR事件とPGM事件

 TPRという会社が多額の繰越欠損金を抱え100%子会社を吸収合併し、同じ名前の子会社を設立して、合併で吸収した雇用や事業のすべてをその新会社に移管しました。

 これに対して、税務当局は、合併の目的が繰越欠損金の承継という租税負担の回避のみで、その目的以外に合併を行う理由が無いとして、組織再編成に係る行為計算否認の権限を行使して、合併行為を否認しました。地裁・高裁も当局の行為を認容し、最高裁は、納税者の上告を不受理として判決が確定しました。

 PGMという会社の100%子会社Aは事業を会社分割でB社に移転して欠損金を残したまま休眠会社になった後に、兄弟会社C社(PGMの100%子会社)に吸収合併され、その後C社は兄弟会社のD社(PGMの99.999%子会社)に吸収合併され、欠損金は結果的にA→C→Dと移転しました。

 これに対して、税務当局は、A社は休眠会社で事業合併にならず、繰越欠損金の承継という租税負担の回避の目的以外に2段階合併を行う理由が無いとして、組織再編成に係る行為計算否認の権限を行使して、2段階合併行為を否認しました。

 地裁・高裁は、100%支配下の合併では、適格性も欠損金承継も、従業者引継要件及び事業継続要件が必要とされておらず、A→C→Dの2段階合併行為程度のことは、一般的に合理的な手順・方法と言え、通常では想定されない不自然な行為などではなく、税負担の減少目的を持つことを以て不当性要件に該当するなどと解することはできない、として国を敗訴しました。なお、国は最高裁に上告しています。

 TPR事件判決については、学者専門家からの多くの批判があり、PGM事件判決は、それらの批判を取込んでおり、両判決は、相当に真逆な内容になっています。

 TPR事件判決での、欠損金の承継へのこだわりを異常視する観点、組織再編税制への法文法上求められていない事業の移転や継続を求める過剰な趣旨解釈の傾向からの離反と予測可能性を確保する分離解釈への立ち返り、正常化がPGM事件判決でなされているとの印象です。

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